2006年03月05日

ソフトバンク 頂上戦略加速 総合通信3強時代へ 「時を買い」参入前倒し

携帯電話世界最大手の英ボーダフォンがソフトバンクとの間で進めている日本法人の売却交渉は、月内にも最終合意に達する見通しとなった。ソフトバンクが固定通信事業に続いて移動体通信も傘下に収め、総合通信事業者としてNTT、KDDIに次ぐ三強の一角に食い込む可能性は濃厚だ。しかも、ソフトバンクはハード面では追撃する側だが、提供コンテンツなどソフト面ではむしろ先輩格。迎え撃つライバル二社は従来とは異なる総合力の競争に引きずり込まれることになる。
 交渉の最大の焦点は価格だ。英ボーダフォンは、日本での携帯事業参入のために、旧J−フォンを傘下に持っていた日本テレコムを買収したが、その際に一兆数千億円を費やしており、売却金額は一兆五千億−二兆円を要求しているとみられる。しかし、すでに携帯事業参入を認められているソフトバンクは、単独でも事業開始は可能。このため、買収価格の大幅な値引きを求めており、双方が納得できる金額を探っている。
 ソフトバンクが手持ち資産の大半をつぎ込む、社運を懸けた動きに出た背景には、通信事業者が、固定と携帯、さらには提供コンテンツをも加えた総合力で勝負する時代に入りつつあるという状況がある。
 ソフトバンクは他社に先駆けて、ADSL(非対称デジタル加入者線)方式のブロードバンド(高速大容量)サービス提供を始め、日本が世界屈指のブロードバンド大国となるきっかけを作った。その後、日本テレコムを傘下に収め、固定ブロードバンド通信ではNTTに次ぐ業界二位の地位を得たが、ADSLはすでに頭打ち。さらなる成長のために携帯事業参入が悲願となっていた。
 しかし、紆余(うよ)曲折を経て昨年十一月に携帯事業への新規参入を勝ち取ったものの、携帯業界は十二年ぶりに計三社の新規参入が認められたうえ、十一月には、契約する携帯会社が変わっても同じ番号が使える「番号ポータビリティ制度」が導入され、顧客獲得競争の激化は必至。これまでのような高収益は期待できない大競争時代に突入しようとしている。
 収益維持のためには持ちうるハードとソフトを包括的に提供しなければならず、通信業界は総合力の向上に取り組んでいるが、こうした状況下で携帯事業に参入すれば苦戦確実とみたソフトバンクは、一足飛びに“全国区”となるために、ボーダフォンから回線を借りる交渉を進めていた。
 関係者によれば、ソフトバンクは、今年に入って約六千億円で事業買収を提案。その時点では価格面で折り合わなかったが、日本市場がさらなる激戦地となることを嫌った英ボーダフォンが一転して売却に応じる姿勢を見せたため、交渉が本格化した。
 今回の買収交渉について通信業界関係者の一人は、「時間を金で買う、孫(正義ソフトバンク社長)さんらしいやり方」と評するが、ソフトバンクは、新規参入組を引き離して、いきなりNTTドコモ、KDDIを射程内に収めるポジションに着く。
 予想もしない戦略を持ち出し、現在のボーダフォンよりもはるかに怖いとされるソフトバンクの登場に、ライバル各社は、戦略の練り直しを迫られることは必至だ。
     ◇
【会社概要】ソフトバンク
 孫正義社長が昭和56年、パソコンソフト販売会社として設立。ネットサービス大手のヤフーなどを傘下に持ち、ADSL事業は国内最大手。総合通信事業者への転換を進めている。平成17年3月期は売上高8370億円、最終損益は598億円の赤字。
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【会社概要】ボーダフォン・グループ
 英国に本社を置く世界最大の携帯電話会社。27カ国で事業展開し、総加入者は約1億8000万人。2001年に日本のJ−フォンを買収した。05年3月期の売上高は341億ポンド(約6兆9300億円)、最終損益は75億ポンド(約1兆5300億円)の赤字。
posted by シンビアン at 17:34| Comment(0) | TrackBack(0) | 携帯電話 / スマートフォン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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