今回の買収は、ベルサウス株1株に対してAT&T1.325株を割り当てる株式交換方式で実施する。現在の株式時価総額は、両社の合計が1650億ドルで、ライバルのベライゾンの990億ドルを大きく上回る。
米国では84年、競争促進のために旧AT&Tが解体され、地域、長距離、携帯などの事業分野ごとに複数の大手が存在するようになった。だが携帯や電子メールの普及で地域、長距離会社の経営が苦しくなったうえ、ブロードバンド(高速大容量)通信でケーブルテレビ会社との競争も激化。ここ数年、合併が相次ぎ、AT&Tとベライゾンの「2強」に集約されつつあった。このため今回の合併に対しては、消費者団体から「電話料金の値上げにつながる」と反対の声も出ている。
地域電話会社は現在4社。現AT&Tは、テキサスやカリフォルニアなどで営業していた地域会社SBCコミュニケーションズが昨年、長距離会社として存続していた本家のAT&Tを買収し、社名を引き継いだ。
地域会社のうち、北東部を基盤とするベライゾンも今年1月、長距離大手のMCI(旧ワールドコム)の買収を完了。英ボーダフォンとともに携帯のベライゾン・ワイヤレスも保有している。